忍者ブログ

置場

妄想文を思いつくままに書き散らしています。更新頻度は低めの予定です。

2024.09.21
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2007.07.10
「地球へ・・・」現代学園パラレル
中途半端に終わっていますが続きを書くかは未定です…













 その日はジョミーにとって面倒な日直に当たってしまっていた。やだやだ、と愚痴をこぼしながら、担任に届ける日誌を持って外階段を抜け職員室へと向かう。帰り支度をすばやくすませた彼の手には、すでに鞄が握られていた。
「あ~、面倒くさいなあ。終わったら早く帰って寝よっと」
「ジョミーったら。まだ5時にもならないのに」
 言いながら伸びをするジョミーに、同じく日直のスウェナが隣でクスクスと笑い声をたてる。その反応に面白くなさそうな顔をしながら、だってきのうの深夜のテレビが面白くて…と言い訳する彼に、スウェナはさらに笑みを深くした。
 と、そんな二人の前方から、飲み物を入れるための大きな容器を両手に抱えた気のよさそうな少年が小走りでやってくる。
「サム!」
 ジョミーが声をかけると、名前を呼ばれた彼は容器に傾けていた意識を前へと向け、そこに親しい二人の友の姿を確認してニッ、と笑みを浮かべた。ジョミーとスウェナは急いで階段をおりる。
「よう。今から帰りか?」
 一緒に行こうぜ、とサムが駆け寄ってきた。職員室の近くには部活者のための給水所があるのだ。いいよと返しながら、ジョミーは容器へ目を向ける。
「サッカー部はずいぶん人遣いが荒いんだな。いくら新入部員だからって一人にこんなに持たせてさ」
「本当、大変そうだわ」
「いいんだよ。こんなのに人数かけてたって仕方ないだろ」
 笑いながらそう言うサムはそんな雑用さえも楽しく感じているようで、ジョミーはそんな彼が少しうらやましく思えた。
 職員室の設置された棟のドアを開くところで、ころころとバレーボールが転がってくる。ボールは彼らを行過ぎて隣の繁みへ入り込んだ。あ、と上がる声は、しばらく先にいるそのボールで遊んでいた者たちからのようだ。ジョミーはよし、と何のためらいもなく繁みへ頭を突っ込み、ボールを探し出して彼女たちの元へ投げ返した。ありがとう、と手を振る彼女たちに、ジョミーも大きく振り返した。
「ジョミー、お前頭すごいことになってるぞ…ほら」
 頭についた諸々のものを二人が取り除いてくれる間、ジョミーはおとなしく待ち、取り終えたところであらためて三人は棟の中へ入った。
「やっぱり僕もなにか部活入ろうかな」
「なんだよ今さら、ピンとくるものがないとか言って俺の誘いも断ったくせして」
「だってサッカーは好きだけど、部活として続けていくのはなんかちがう気がしてさ」
 それに中学のときにも何もやってなかったからついていけるか自身ないし、と呟くジョミーにスウェナは、
「フフ。なら気分を変えて演劇部なんてどうかしら、ジョミー。歓迎するわよ」
「いや、それはちょっと…」
 そのとき、周囲の空気が変わった。小さなざわめきが、ジョミーの目指す職員室方面から広がってくる。どうやらざわめきの原因は、たった今職員室から出てきた少年にあるようだ。彼の周囲は、本人の前であるからかざわめきこそ小さいが、より落ち着きの無い空気であるのが何となく伝わってくる。その妙な空気におされ、三人は職員室を目の前にして立ち止まってしまった。ざわめきに触発されたのか、スウェナもサムも少し落ち着かない様子である。
「いったい何かしら」
「なんなんだろうなあ」
 ジョミーは少年に視線を集中させていた。少年――とはいってもジョミーたちより上級生のようだが――は、出て行こうとしたところを教師に呼び止められたようで、そのままドアの前で立ち話をしている。角度の問題でその横顔さえもよく見えないが、彼の頭を覆う白い髪に目を惹かれた。白、というより銀髪なのかもしれない。どちらにしても珍しい色合いだ。
 立ち話を短く終え丁寧に一礼した彼は、踵を返して歩き始めた。進行方向はちょうどジョミーたちの側だったので、今まで見えなかった彼の顔がよく見える。
 ――息を呑んだ。それは友人たちも同様で。
 それほどに彼は――男にこの表現はありえないと思っていた自分の常識を一瞬で覆してしまうほどに――美しかったのだ。細部まで入念に仕上げられたとしか思えない白皙の彼の意識は今、手元の書類に向けていられるようで、伏せられたまつげまでも白い。
 
視線が上げられた。 
「――っ、」
 瞳が、赤い。宝石のような、綺麗な綺麗な赤。
 魅せられる。
 赤い瞳は、自然彼の進行方向に立つジョミーらへと向けられる。
 呆然と立ち尽くすジョミーをその目に留めて、彼はにこりと微笑んだ。
(え、え、何!?僕を見てるの!?なんで!?)
 ひどく動揺するが、そんなジョミーの内心にも関わらず、彼は着実に距離を詰めてくる。気のせいではなく、確かに彼は自分へ向かってきているのだ
 す、と手が伸ばされる。爪先までも繊細に整ったそれが自分へと向けられていることを、ジョミーは信じられない思いで見つめる。指はそのまま上へと伸び――

 指が耳元をかすめた瞬間、何かがカサリと音を立てた。

「ついていたよ」
 深い柔らかな声音の主がすぐそばにいる。その手に乗せられているのは……小さな枯葉だった。
「あ」
 あのときに、と思い返して顔から火が出るような思いになる。彼の手からひったくるようにして枯葉を受け取った。
「あ、ありがとうございます!」
「いや」
 答えた彼は、ジョミーに――そしてジョミーの両隣で声もなくそれまでの光景を見つめていたスウェナとサムにも笑みを向け、硬直する彼らを残して過ぎ去っていった。
 
 
「はぁ…驚いた。アルビノなのかしら。初めて見たけど、すごく綺麗… あんな人がこの学園にいたなんて」
 赤らめた頬に手を当て、スウェナはほっとため息をついた。
「ああ、まったく驚いたな…ていうかあんな目立つ人、入学して一月もたつのに気付かないわけ無いよな」
あの人もしかしてうちの生徒会長じゃないか?とサムは言う。
「しばらく入院しているって話聞いたことあるぜ。すごい人気あるらしいってのも聞いたことある気がするし。どう思う、ジョミー。…ジョミー?」
「あら」
 ジョミーは魂が抜けたようにしなびていた。おいジョミー、とサムが肩をゆすると、ああ、と絞り出すような声を上げてへなへなと座り込む。
「葉っぱ、ついてた……」
 みっともない奴って思われただろうなあ。
 低く呟き、立ち上がる様子を見せない。なにやらひどく落ち込んでいるようだ。なるほど、あれ(・・)を前に葉っぱつきの姿をさらしてしまったならば確かに落ち込むだろう、と友人たちは苦笑する。
「ほら立って、行こうぜ」
「サム…」
「なんだ?」
 よろよろと立ち上がり、それでも視線はまだ空ろなままジョミーはたずねる。
「生徒会長って、いってたっけ?」
「ああ。ま、そうかもなってだけで、実際どうか分かんねえけどさ」
 ありがとう、と返してジョミーは振り返った。まだ彼の感触が残っている気がする左耳に手を当てる。
「生徒会、か」
 呟く彼が、一瞬遠い目をしてみせる。
「ジョミー?」
 不安げによびかけるスウェナに、彼はにこ、と笑いかけた。
「じゃ、早く職員室いこっか」
 サムもはやくしないと怒られるんじゃない?とそれまでの様子が嘘のように急にいつも通りに戻った彼に、二人はちょっと拍子抜けしながらも安心する。
「ああ、行ってくるよ。じゃあな」
 別れるサムに手を振りながら、ジョミーの心には静かな、だが確かな決意が生まれていた。







 ああ中途半端・・・
 ところでこれ、最初は20行くらいで収まると思ってました。見通しが甘すぎる。
PR
  BackHOME : Next 
リンク
web拍手ボタン
アクセス解析

置場 wrote all articles.
Powered by Ninja.blog / TemplateDesign by TMP  

忍者ブログ[PR]