置場
妄想文を思いつくままに書き散らしています。更新頻度は低めの予定です。
出すものが何もないのでお茶にごしに以前一時的にアップしていたものを再アップ。発覚シリーズと同設定ですが時系列はずっと後の、親子関係をすでに逸脱してしまっているジョミブルのお話です。
※ブルー女体化、ジョミーと親子設定です。ぬるいですが真っ最中な内容なのでご注意の上ご覧下さい。
暗い部屋の中を、忙しい呼吸音ばかりが満たしている。
「ブルー」
裸の耳を、掠れた吐息がくすぐった。
「腕、どけて」
耳元での囁きに、体を震わせながらも緩く首をふって拒否する。
「ブルー……」
ほう、とため息を吐いたジョミーの唇が、交差した彼女の両手首に降りていく。チュッ、と音を立てて内側を吸うと、白い肌に薄紅色の印が残った。合間から差し出した舌で両手の形をたどっていけば、組み敷いた体がびくりと震える。その隙を逃さず両腕をのけると、現れたのはいつになく上気した顔。
コクリと喉が鳴る。
「ブルー」
それでも、彼女の瞳は閉じられたままで。
「キス、してもいい……?」
補聴器のない彼女の耳にも届くよう、そのごく近くで願いを口にする。すると、かかる息に耐えられなかったのか、顔が反対側に背けられた。
駄目か、と諦めの息を吐けば、間近に迫る瞼がぴくりと動き、薄く開かれた。そうして徐々に露わになっていく瞳を縁取る長い睫が、ジョミーの頬をかすめていった。
現れた紅は涙で潤み、より鮮やかに彼女の白皙を彩っている。
「ッ…!」
抑えきれず、体を巡る衝動のまま口付けた。
熱を持った唇が、それ以上の熱さに隙間なく覆われる。合わせ目から伸びてきた舌先で上唇を探られ、たまらず口を開けばすかさず進入された。
これは誰だ?胸の内をグルグルと疑問が渦巻く。
ずっと成長を見守ってきた愛しい子どもの姿は、思い出した端から消えていく。
「んっ」
弾力のある柔らかな舌に這い回られ、くぐもった声が洩れ出る。今や口内は余すところなく彼に侵されれており、混じり合った唾液は口の端からこぼれていった。
「あ」
全身から、彼の熱を感じる。合わせた肌から彼の欲情は隠しようもなく伝わり、いたたまれない心地になる。
「や…ジョミーッ」
悲鳴のように名前を呼べば、彼の動きが止まった。顔を離して見つめてくる顔は、知っていたはずの彼の顔とは違っている。
「嫌、ですか?」
かかる息は荒く、熱い。
――この子は、こんな顔だったろうか。こんなにも飢えた顔を、男の顔を、していただろうか。
羞恥と違和感に耐えられず、シーツに顔を押さえ付ける。彼はそれを拒絶ととったのか、悲しげに目を伏せた。
募る欲と悲しみに耐えかねて辛そうに歪む顔は、彼女の知らなかった、けれど確かに彼女の見知った愛し子のそれで。
腕を伸ばし、目の前の体に回した。息を呑む音が間近に聞こえる。
いいの、と低く、堪えきれず溢れる何かの滲む声に問われ、今度はこくりと頷いた。やはり自分の知る彼とは違うと思えたけれど、手を離そうとは思わなかった。
もう二度と、彼を悲しませたくはない。あのときのように、苦しい思いをさせることは、もう二度と。
「う、あっ」
次の瞬間、それまでとは比べ物にならない熱に貫かれた。そのことによる直接的な痛みより苦しみより、突かれるたびに沸き起こる身の内の激しい慟哭が、彼女を苛んだ。
責められている、と感じた。天理に背く行為を、行為の理由である自分自身を。
強く閉じた目から流れ落ちた雫は、すぐに温かい舌に舐め取られて消えた。
無理矢理いたしているわけではありません。念のため。