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置場

妄想文を思いつくままに書き散らしています。更新頻度は低めの予定です。

2024.09.21
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2007.11.11

以前にちょっと考えてみた学園ものでのマードックとブルーの交流が突然頭に湧いて出たので書いてみました。にしても何て時間に更新してるんだ自分。
以前に書いた2つの学園ものとはまったくの別物です。書いたらそうなりました。カップリングはありませんがジョミー→ブルーな感じです。マードックはよく分からない。
最初は真夜中(というかほとんど早朝)マジックでギャグになるはずだったのに後半がシリアス風に…これもまた真夜中マジック!















「……疲れた」
 ぐらりと揺れる体をそのまま目の前のソファーに投げ出すと、図らずも先客の膝の上に上半身が乗りかかる体勢となった。だが、そのことに両人ともかまう様子はない。
「ああ、ご苦労さん」
 労いの言葉をかけ、マードックは常に無くだらしのない格好の生徒会長の頭をポンポン、と軽く叩いた。
「ほら、ケーキがあるぞ。手っ取り早くブドウ糖を摂取しろ。まあ俺の食いかけだが」
 嫌なら別に用意してやる、との言葉に、ブルーはゆるゆると首を振る。下向きだった顔が、ゆったりとした動きで後方にねじられ、彼の沈む膝の主へと視線を合わせた。
「僕はかまわない。…けど、いいのかい」
「どうぞ」
 テーブルへとのびた彼の腕が、まだほとんど食されておらず綺麗な状態のケーキがのせられた皿を取り、ブルーへと手渡した。ブルーはそれを緩慢な動きのまま受け取ろうとしたが、力が足らず、皿を持つ手がぐらついた。それを見越していたマードックのおかげで皿は取り落とさずにすんだが、体を起こす元気もない今のブルーでは、せっかくのケーキが食べられない。さてどうしよう、と彼は考えた――とあるべきところだが、実際はそんなことはなかった。マードックが彼に食べさせる役を自ら担ったからだ。
「――うまいか?」
「うん、とても」
「そうか、なら良かった。この店は気に入りなんだ」
「今度教えてくれ」
 二人しかいない部屋では、彼らの静かな会話の他にはフォークが皿と触れ合うカチャカチャとした金属音のみ。ただ、和やかな空気が流れている。
「ブルー、クリームがついてうまそうなことになってるぞ…ほら」
「ありがとう、グレイブ」
 バサアッと、どこか大袈裟な、仰々しい音がその場に響いた。音の発信源とおぼしき生徒会室入口に彼らが目をやると、そこにはわなわなと身を震わせるジョミーの姿があった。その足元には、大量の書類が散らばっている。
 そういえば、最近彼がやたらと熱心に生徒会の活動を手伝ってくれているのだった、とブルーは甘いもののおかげか先よりも活性化した頭で考えた。正式な役員でもないというのに、ありがたい事だと思う。しかし彼は取り落とした書類をいつ拾うのだろうか。このままでは風にさらわれてしまうかもしれない。
「あ、あ、何してるんですか!?ちょっとお!!」
 どしどしと足音も荒く間近へと彼が迫る。何と言われても、今はちょうど休憩をとっていたところで仕事は何もしていない、と答えたブルーへジョミーはもどかしげな、そして絶望的な目をして大きく頭を振った。嘆くように頭を抑え、しゃがみこんでしまう。それを見たマードックは、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべている。
 離れてください!それでも負けじと叫ばれた言葉で、自分たちの格好を思い出した。全身をソファーの上に寝かせた上、上半身はマードックの上にもたれかかっている状態だ。異物を取り除くため上向かされた顔の顎に掛けられていた彼の親指と人差し指はジョミーの進入とともに外されたが、みっともない状態には変わりないだろう。
「こんな格好ですまない。少し疲れていたから休んでいただけだよ」
「…本当にそれだけですか?」
 ジョミーの視線が、ジトっと湿度も高く絡みついてくる。
「本当だよ」
 いつになく様子のおかしい後輩の姿に、ブルーは首をかしげる。体調でも悪いのだろうかと、様子をうかがうために顔を近づけようとすると、彼は今度は顔を真っ赤にして背後へと飛び退った。…何なんだろう。
「それぐらいにしとけ、ブルー」
 自体を静観していたマードックが、制止の声を上げる。そうして、寝転がっていたブルーの両脇に腕を差し込み、背中をソファーへもたせかけた。
 されるがままであるブルーがふとジョミーへ視線をやると、彼は大きく目を見開き、その顔は驚愕と悲嘆の色に染まっている。
 ――どうしたんだろう。
 とにかく頭を撫でてやりたいと腕をのばしかけたところで彼との距離に気付き、仕方が無いので立ち上がって近づいていった。マードックは、黙ってただそれを見つめている。
 ジョミーの前にしゃがみこんだブルーは、お気に入りである彼の髪の毛にてのひらを滑らせた。
 そうすると、ふっと解けた彼の表情に気をよくし、にっこりと笑いかける。

 それを見たジョミーの顔は、なぜだか曖昧に、泣き笑いのような形に歪んだ。
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