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置場

妄想文を思いつくままに書き散らしています。更新頻度は低めの予定です。

2024.11.23
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2007.08.16
「地球へ・・・」久しぶりの学園パラレル2発め。今度は設定を説明しつつのお話です。
公式の特典CDと微妙にかぶる所がありますが、一応聞く前から細々書いてたものなのでそのまま行ってみます。
それにしても学園の名前が決まりません。このまま名無しで通してみようか。
















 その学園は、実績の高さとともに心身に何かしらの障害を負った者――鋭敏な感覚を持った彼らは、通称“ミュウ”と呼ばれている――へも広く開かれた学び舎として有名である。
 身体的欠陥や精神の薄弱さが目立つミュウには芸術面や学業面において秀でた者が多いため、学園はその分野で高い評価と実績を持っている。また、それら文化面には及ばぬまでも、運動面では部活動などでそこそこの成果が上がっている。
 しかし、一見至極理想的なその学園にもある大きな問題が長らく横たわっていた。健康体である者たちとミュウたちとの隔絶である。個人単位では交流を持つ者たちもいたが、全体に両者はなじむことなく、そのおかげで学園は今ひとつまとまりに欠けていた。
 対立しているわけではない。ただ、ミュウといわれる者は元々数が少なく、おまけに身体の弱い彼らは過ごしやすい地域に集ってすむため、ミュウと一般人とは相互に交流の少ない状態にあった。学校もそれぞれ専用に分かれているのが常であったため、双方とも相手にどう接するべきか判じかねているのだろう。学園内のミュウが少数であったり、もしくはその逆であったりすれば、彼らはもっと良好な関係を築けていたかもしれない。その数が拮抗することで互いへ向ける意識は強まり、かえって距離は深まるようだった。
 そんな両者のぎこちない関係は、常に学園を悩ませる種だった。
 しかし2年前、それを解消する者が現れた。彼もまた、体に欠陥を持つミュウであったが、どちらの層にも偏ることない公平さを始めとする優れた人格と学園史上に残るといわれるほどの優秀さで双方からの圧倒的支持を受け、1年の身でありながら学園でミュウ初の生徒会長にまでなった。ミュウはおしなべて気の弱い傾向にあるため、優秀な人材は数多くいるにも関わらず人の上に立ち指導する立場になろうとする者はそれまでいなかったのだ。そんな壁を容易く乗り越えた彼は、3年になる現在まで生徒たちの厚い信頼を受けて会長を務めている。彼の手腕で、学園内の隔たりはいつのまにか無くなっていた。
 ちなみに、学園の伝統により生徒会長は敬愛を込めて「ソルジャー」の称号で呼ばれている。
 
 
 長らく学園を離れていた会長が帰ってきた――
 職員室で姿が確認されてから、そのとびきりのニュースはあっというまに校内へ行き渡っていった。そうしてそわそわと浮き足立つ2、3年生を、入学してから一度も会長を見たことのない1年生が不可解な気持ちで眺める、という光景がそこかしこで展開されていた。
「先輩、なんであんなに浮かれてるんだろ……?」
「どんな人なのかな、会長って」


 前述の通りこの学園では芸術面が強いため、美術室や音楽室の入った「芸術棟」が独立して置かれている。生徒会室は、その芸術棟の最上階一番端に設置されている。
 部屋の主であるところの生徒会長は、机を挟んでドアの真向かいにある開け放たれた大きな窓から、黄昏て朱く染まっていく景色を眺めていた。
 そこへ、コンコン、と控えめなノックの音が響く。どうぞと応じると、ほんの少しの間の後ドアが開かれ、金髪に癖毛の少年が入ってきた。重そうに抱えた書類の束を差し出し、
「こちらが今年度の新入生と編入生の資料です」
「ああ。ありがとう、リオ」
 会長は窓に向けていた身体をキャスター付きの椅子ごとくるりと回転させて机に置かれた資料を手に取り、めくり始めた。
「外は騒ぎになっていましたよ。ソルジャー・ブルーが帰還した、と」
 おかげでこちらへ来るまでに何人も呼び止めてくるものですから慌てて逃げてきました、と肩をすくめて苦笑するリオに、ブルーは口元を緩める。
「帰還か。それはいい」
 ククク、と彼の形の良い唇から笑い声が漏れる。それでも資料をめくる動きが止まることはなかった。
「ただの検査入院なのに」
「それでも、一月以上もお留守でしたから」
  ブルーは軽く言い放つが、対するリオの声と瞳が翳ったのを認めて手を止めた。
「すまない、リオ。君たちにも負担をかけてしまったね」
 いいえ、とリオは首を振る。
 そんな彼を優しく見つめたあと、細い指の資料めくりが再開された。一定のリズムを持って行われるそれは傍からみれば顔写真の確認さえも怪しいほどのスピードだろうが、リオはブルーがその短い時間で資料の隅々まで読み通していることが分かっていた。
 ふと、流れるようだった手の動きが止まる。何だろう、と目を向けたリオに、ブルーはおいでおいでと手招きをした。呼ばれるままに近寄り、彼の手の中の書類を見る。何の変哲もないものに思えた。
「今日、職員室の前で彼に会ってね」
 訝しげなリオの視線に応じるように言った彼は、くつくつと笑った。おかしげな響きを内包したそれは彼には珍しい類の笑みで、リオは内心目を見張る。
「頭に枯葉をくっつけていたよ。元気な子みたいだ」
 言われてリオは、もう一度資料の顔写真を見直した。明るい金髪に意志の強さが表れた瞳が印象的な少年である。
 ジョミー・マーキス・シン、か――
 と、ブルーがふっと目を閉じ、こめかみに手を当てた。いつもならば何時間続けていても平気なのに、まだ退院したばかりで本調子ではないせいだろうか。不安がリオの胸をよぎる。
「お疲れですか、ソルジャー?それなら…」
「大丈夫。――ああ、風が冷えてきた」
 5月はまだこんなにも冷えるのかとひとりごち、ブルーはなだらかな風の流れを目だけで追いかけた。





 これ、30行ほどで収まると思っていました。そもそもブルーが出てくるまでにそんなのとうに超えてるような。
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